事件の事実:
特許権者のファミリーイナダは2008年7月14日に「椅子式マッサージ機(jī)」を名稱とする特許(以下、「係爭特許」)を出願し、2015年2月25日に権限を付與された。
第三者である上海栄泰は、係爭特許の請求項(xiàng)が不明確である、新規(guī)性および進(jìn)歩性がないなどの理由により當(dāng)該特許の無効審判を請求して、新規(guī)性および進(jìn)歩性の評価に用いる9件の証拠を引用した。國家知識産権局は無効とする審決を下し、請求項(xiàng)1~16はすべて進(jìn)歩性がないと判斷し、本特許を全部無効とした。
ファミリーイナダは無効とした審決を不服とし、北京知識産権法院に行政訴訟を提起したが、北京知識産権法院は一審において、國家知識産権局が下した無効審決を維持し、ファミリーイナダの訴訟上の請求を棄卻する判決を下した。
ファミリーは一審判決を不服とし、最高人民法院に上訴した。
法院の判決:
このほど、最高人民法院は判決を下し、係爭特許に進(jìn)歩性があるとするファミリーイナダの上訴における請求は成立するが、國家知識産権局復(fù)審委員會および北京知識産権法院が係爭特許に進(jìn)歩性がなく無効とすべきであることを理由に下した無効審決および一審判決は法律の適用に誤りがあり、取り消すべきであると判斷した。これにより、ファミリーイナダと集佳の弛まぬ努力の下で、集佳が代理人を務(wù)めたファミリーイナダ事件は最終的に勝利を収めた。
事件の評論?分析:
専利の権利確定訴訟において、専利の進(jìn)歩性の判斷は雙方の間で最も多く議論され、最も意見が割れる問題である。進(jìn)歩性の判斷においては、先行技術(shù)の文獻(xiàn)中に技術(shù)的示唆が存在するか否かをどのように確定するかが、先行技術(shù)との間で組み合わせが可能か否かを決定する上で核となる問題である。本件の爭點(diǎn)は「當(dāng)業(yè)者に本件証拠5と証拠1および技術(shù)常識に基づいて組み合わせた技術(shù)的示唆が存在し、それにより『當(dāng)該腕部サポート部位がその座面に座った被治療者の前腕部、上腕部および肩部に対応して一體をなし、しかも各部位の相対的位置がすでに固定されている(以下、「論爭の相違點(diǎn)」』という技術(shù)方案を得られるか否かである」。
最高人民法院の判斷によると、技術(shù)的示唆とは先行技術(shù)に特定の教示が存在し、當(dāng)業(yè)者が客観的に技術(shù)的課題に直面したときに、當(dāng)該教示を考慮して最も近い先行技術(shù)を改良することにより、保護(hù)を求める発明を取得し、発明の技術(shù)的効果を?qū)g現(xiàn)するよう促すことをいう。當(dāng)業(yè)者が先行技術(shù)から知ることができる示唆は原則的に具體的で、明確な技術(shù)的手段でなければならず、抽象的な構(gòu)想または一般的な研究の方向性ではない。
本件に話を戻すと、本件証拠5の技術(shù)方案に基づき、當(dāng)業(yè)者が「姿勢を調(diào)節(jié)しても腕部の各部位の相対的位置の固定した狀態(tài)を保持しなければならない」という技術(shù)的課題を解決する必要性はまったく想定し得ない。しかし本件証拠1は阻害要因、つまり「証拠1の第1保持部と第2保持部は連結(jié)して一體となっているが、第1保持部と第2保持部の間は動かすことが可能である」ことを示しており、したがって証拠5、証拠1のいずれにも被治療者の前腕部、上腕部および肩部の「相対的位置を一定とする」明確で具體的な示唆は存在しない。
また、この判決において、最高人民法院は「証拠1では肩部に対応する構(gòu)造が公開されていないだけでなく、當(dāng)業(yè)者が肩部と腕部に対する一體式のマッサージの提供を容易に想到することを証明する証拠もなく、できる限りより多くの部位に対してマッサージを提供することがマッサージ機(jī)器における広い需要であることから、上腕部に対応する第1保持部の範(fàn)囲がさらに肩部へと拡張し、肩部に対応する部分を形成すると當(dāng)業(yè)者が容易に想到するとの結(jié)論に直接結(jié)び付けることはできない」と明確に指摘しており、この確定的な認(rèn)定は実際に専利の権利付與?権利確定の過程においてよく用いられる「事後諸葛亮(後知恵)」の規(guī)則に対する否定的な姿勢を示すものである。言い換えると、進(jìn)歩性を判斷するときに、本特許の技術(shù)方案を見た後に、本特許と先行技術(shù)の間の違いが非常に容易に想到する改良であると當(dāng)然のように判斷してはならず、明確で、具體的な示唆があるか否かを判斷しなければならない。
以上の內(nèi)容を総括すると、専利の権利確定事件において、まず本特許および証拠の技術(shù)方案を完全に熟知し、本特許の請求項(xiàng)と最も近い先行技術(shù)を?qū)澅趣筏皮饯芜`いを明確にし、さらに區(qū)別される技術(shù)的特徴が実際に解決しようとする技術(shù)的課題を確定し、その後に先行技術(shù)に明確な教示があるか否かを見なければならない。示唆と組み合わせていない証拠の間の技術(shù)的特徴を機(jī)械的に寄せ集め、係爭特許の技術(shù)方案を得ようとしてはならず、これは発明者の創(chuàng)造的活動を無視するものである。
|